あるロウエターナルのお話

調子に乗って第3話


時を少し遡り・・・。

ソーンリームの遺跡ではある区間の天井や、壁が崩れ落ちるようにして瓦礫の山が出来上がっていた。
犯人はもうお分かりでしょうが、ぶっちゃけコウの仕業である。
彼が“某黒人”に襲い掛かられたときに衝動的に放った神剣魔法の被害であった。
衝動的とはいえ、その一撃はほぼ手加減抜きの一撃となりその区間は丸々壊滅状態で当然その場にいたものは生き埋めになっていた。

それから数秒後、瓦礫の下から光が迸り、瓦礫の山は辺りに四散し“幼女”が浮かび上がった。

「ふふふふふふ・・・、このわたくしに対していい度胸ですわ。」
それは邪笑と呼ぶにふさわしいほどにいい笑顔だった。
むしろ怒りを通り越して爽やかともいえるべき笑みでもある。

「テ、テムオリン様・・・。」
部下ですら不気味すぎて近づけないほどだ。

「どうせ予定にはない駒です。
邪魔者には消えていただきましょう。」



こうして自業自得とはいえ彼のロウエターナル参入への道は知らぬ間に消えていたのであった。
憐れ“渇望”。
だが、永遠神剣第3位“渇望”にとっての災難はこれは単なる始まりに過ぎないのだった。

これはもう少し先の話だが契約者選びに失敗し、後悔した彼は時を操る力を“渇望”したが無理だったことをここに記載しておく。



そして、現在・・・。

ネリーちゃんの専属ボディーガードになった俺はラキオスの第二詰め所に住むことになった。
俺はネリーちゃんとの同室を望んだがさすがにそれは却下された。

ハリオン、ヒミカ、ネリーちゃん、俺の4人で第二詰め所に行くと青い髪のショートカット少女がネリーに抱きつき、二人は仲良く抱擁していた。
ぶっちゃけ羨ましい。
代わって欲しいと思いながらハリオンたちに誰かと尋ねると、シアーといって双子の姉妹らしい。
姉妹にご挨拶は基本なので、紳士に話しかけてみることにした。

「こんにちわ。」

「だれ〜?」
可愛らしく首をかしげるシアー。

「コウだよ。
新しいエトランジェなんだけど、私のことが好きなんだって〜。
えへへ、くーるでしょ?」
クールとはあのクールのことだろうか?
聖ヨト語にも同じような言葉があるのかどうかはわからんが・・っていうかそんなものはどうでもいいが、
はにかみ笑いのネリーちゃんマジ可愛すぎ。
やべえ・・鼻血でそ・・。
そして、その笑顔のためなら死ねるとすら思えてしまう俺は相当重症だ。

「わあ、ネリーすごいなぁ。」

「ふふーん。」

「俺はネリーちゃんの専属ボディーガードとしてラキオスに所属してるけどシアーちゃんも困ったときは何でも言ってね。
絶対助けてあげるからな。」

「おお〜、コウやっさし〜!」
「やっさし〜!」
二人はハモらせていった。

「いやいや、当然のことだよ。
ぶっちゃけ、ネリーちゃんとシアーちゃんのためだったら
単身でサルドバルド落としたっていいくらいだよ。

今ラキオスと水面下で争っている国らしいが戦いに行って二人が傷ついたりするくらいなら全力の神剣魔法を城に向けて放っても構わないかなとか真剣に思った。
エターナルが介入しまくるのもどうかと思うがそんなものはネリーちゃんと天秤にかけるまでもない。
そんな思念を読み取って“渇望”は泣きそうだった。
彼が諦めの境地に達するのはそう遠い未来ではないだろう。
それにしても一話で義理堅いとか言ってた設定はどうなったんですか?
などと、もはや“渇望”にそんなことをいいだす気力は存在しなかった。

「おおー、かっこい〜!」
「かっこい〜。」

「だろ?」
俺は得意げに胸をそらした。
そんな様子をいつの間にか周りに集まっていた第二詰め所の皆様はなんともいえぬ表情で眺めていた。
どうでもいいことだが、俺の神剣魔法を見たことのあるハリオンとヒミカは冷や汗をたらしていた。


そんなやりとりから数日後・・。
俺はなんもやることがないのでいつものようにネリーちゃんの訓練を見守っていると噂のもう一人のエトランジェ、たしかユート(とかいったか?)が近づいてきた。
ちなみに俺には訓練なんて必要ないからやらない。
“渇望”によれば第3位以上の神剣以外は相手にならんらしいので特に問題ないそうだ。
「おう、隊長さんじゃねえか。
話すのは初めてだけどよろしく頼むぜ。」

「あ、うん、よろしく頼む。
えーと、たしかコウって言ったよな。
って呼び捨てでいいか?」

「いいぞ。
んでなんか用か?」
向こうの歳はわからんがおそらく大して違わないだろうと察した。

「いきなりだけどさ、コウはなんで戦おうとするんだ?」
ユートは深刻そうな表情で問う。

「そんなの簡単だよ。
ネリーちゃんの傍にいたいからに決まってるだろ。」
考えるまでもないのであっさりと即答してやった。

「コウはネリーが好きなのか?」

「当たり前じゃん。
好きだから守りたいし、近くにいたい。
これって人として当然の気持ちじゃないのか?」

「あ・・・。」
ユートは俺の言葉にどこか思うところがあったのか俺の言葉を噛み締めるようにして目を閉じた。

「おまえも譲れないものがあるから戦ってるんだろ?
だったら迷うなよ。」

「でも、俺は香織と一緒に元の世界に帰りたい。」

「ふーん。」
香織ってのはよくわからんが言葉からも大切な存在なんだとわかる。

「ふーんって・・・。
コウは元の世界に帰りたいとか思わないのか?」

「いや、帰ったところで俺の存在なんかもうないしな。
それに元の世界なんて帰るだけならいつでも出来るし。」
エターナルはそこがメンドイな〜なんて思ったりもする。
ふと隣を見るとなぜかユートが固まっている。
「どうした?」

「なぁ、聞き間違いかもしれないけど今いつでも帰れるっていわなかったか?」

「言ったけど。
それがどうかしたか?」

「ってなにーーーーーーーーーーーーーー!!!!」?

「っつ・・、いきなり大声出すなよ。」

「そんなことはどうだっていい。
本当に帰れるのか?」

「疑ってんのかよ。
俺がどうやってこの世界に来たと思ってんだ。」

「どうやって?」
ユートはごくりと息を飲み込んで俺の答えを待っていた。

「自力で。」

「本当なのか・・・?」

「だからほんとだってさっきからいってんじゃん。」
言ってないかもしれないけど。
その言葉は言わずに飲み込んでおく。

「なあ、その力で俺たちを元の世界に連れてけたりはできないか?」
期待に満ちた様子を無碍に断るのも後味が悪いのでまじめに答えることにする。

「なぁ“渇望”。
俺以外の人間を伴っての次元越えって出来るのか?」

『おそらく無理であろう。
無理をすれば出来なくはないだろうが危険な賭けになるだろう。』


「無理すればいけるらしいけど、わりいがネリーちゃん以外のために命はかけられねえからできない。 スマンなユート。
シアーちゃんだったらもう少し考えるけどな。」
悪いが俺は男に優しさを見せる気はない。

「いや、気にしないでくれ。
出会ったばかりの俺のために命なんてかけられるわけないのはわかるからな。」
ユートは落ち込んではいるがもともと大して期待はしていなかったのか深刻そうではなかった。
落ち込んでいるところ追い討ちをかけるようで悪いとも思うが、ふと思い出したことがあるので言うことにした。

「あ、そうだ。
おまえ“たち”に言っておくけど、もしネリーちゃんとシアーちゃんに手を出したりしたら殺すからな。」
言葉と同時に殺気と共にオーラフォトンを噴出させ、圧力をかける。

「く・・。」
ユートは気圧されながらも堪えていた。

「ユート、エスペリアから聞いたが、おまえは“求め”に呑まれかけてるらしいな。
おまえが求めに呑まれるようならそのときは俺が殺してやるから覚悟しとけ。
抵抗しても無駄だぞ。
“求め”ならわかると思うがエターナルの俺に勝てると思うなよ。」
そう言って徐々に殺気を抑えてその場から歩き去った。


視点 ユート&求め
なんて力だ。
殺気を向けられただけで為す術もなく殺されると思った。

“厄介なことだ。
これでは契約者の体を使ってマナを集めることが出来なくなったな”
求めはユートに聞こえぬように内心で悪態をついた。

「ところでエターナルって何だ?」
『第3位以上の神剣を持つものの総称だ。
我らでは到底かなわぬ次元の力を持っている。
今の契約者では為す術もなく殺されるであろう。』

求めの物言いに背筋が凍る感覚が走る。
コイツは気に入らないヤツだがとんでもない力を持っている。
その求めがこんなことを言うとはよっぽどのことだと戦慄した。

ユートと求めは互いに沈黙しただ黙ってその場に立ち尽くしていた。




あとがき
やはり文章はテキトーだが気にしたら負けだぞw

テキトーなステータス

榊 昂(サカキ コウ)
永遠神剣第3位“渇望”の主
20歳
元キックボクサー
プロ時代何度も対戦相手を再起不能にし、事故として処理されたが死人を一人出したことから対戦相手がいなくなり引退せざるを得なくなる。
通称“壊し屋”
現在はトラック運転手として生計を立てていたが、仕事中の事故から生還するためにエターナルと化した。
(注:1話参照)
エターナルなりたてだが“渇望”の固有能力である知識の共有によって成り立てとは思えない知識を保有。
そしてその知識によって神剣魔法やスキルはあらかた使える。
性格はいってみれば自己中な人(元ヤン)。
だが、自分が決めたことは絶対に曲げない。
顔はまぁ悪くはないかな?って感じ。
明らかにユーとの方が主役っぽく見える。

永遠神剣第3位“渇望”
3位以上だがぶっちゃけなんも特殊な力はない。
あえていえば“求め”同様に願う力によって能力が変動したり、他者の望みをかなえることが出来るが当然のことながら代償が必要。
くわえて、契約者が強く望み、かつ明確なイメージを持つことで望みどおりの攻撃が出来たりするかもしれないよ?


調子に乗って第3話を書いてしまいました。
ユートとの邂逅。
ちょいとシリアスあり。
ぬか喜び&脅しのコンボ・・・哀れユート。
なんかこの主人公エターナルの癖に結構弱い?
まあ、4位以下は相手にならんがユートがエターナルになったら力関係ひっくり返りそうだ・・・。
ちなみに、キックボクサー設定のモデル(?)は某格闘漫画のお師匠さんの一人でもあるアパ○ャイ・ホ○チャイです(笑)

そしてなんかいつの間にか連載になっているのでびっくり。
ナコト写本のときもそうだが読み切りから連載になること多すぎw
なんか流されやすすぎだわ
不定期だしいいかなと思いながら納得しておきます。
それではまた