『契約者よ・・、強力な神剣の気配が二つ近づいてきている。』

「ま、まさか・・・。
なぁ、渇望、俺は今ものすげえ嫌な予感がしているんだがどう思う?」

『我もだ・・。』

溢れる出る冷や汗を拭うこともせず目の前の空間が歪みだしたのを確認して
俺は・・・
一目散に逃げ出しました。



あるロウエターナル(に狙われている人)のお話

暴走気味に第5話



コウが気配を察し、脇目を振らず逃げ出している頃、幼女たちは既に誰もいないところに降り立った。

「お久しぶりですね・・・って誰もいないわね・・・。」
悠然と次元の狭間から降り立った幼女の声は寂しく辺りに響いたのであった。

「に、逃げた後のようですね・・。」
そう言ったタキオスの声は微妙に引き攣っているのは気のせいではないだろう。

「あ、あいつにはエターナルのプライドというものがないのですか!!」
思惑通りにいかなかったテムオリンは怒り心頭といった様子で怒鳴り声を上げた。

「テムオリン様。
この程度で逃げ出す輩は放っておいても計画に支障がないのでは?」

「それもそうですね。
それになんかやる気失せましたし・・・。
盛大にため息をついた気まぐれ幼女は再び次元の狭間に消えるのだった。


こうしてロウエターナルVSコウの第一戦は戦わずして消えたのだった。


さて、悪運だけは強い我らが主人公、コウ君はというと・・・。

「なんか追ってこないな。」

『あの気配の持ち主は間違いなく我らを狙っていた。
なにか不測の事態でも起きたか・・?』
渇望は怪訝な声で言う。

「追いかけるのめんどくさくなっただけじゃねーのか?」

『汝よ、少しはまじめに考えたらどうだ。』
渇望の声には少し厭きれが入っていたが、コウは正確に答えを言い当てているのだった。


逃げるのにだいぶ時間をとられたコウは駐屯所に戻ると、そのままネリーの元に向かった。

「あっ、コウ!」
ネリーはうれしそうに声を上げて手を振る。

「ちーす、ネリーちゃんは相変わらず可愛いねえ。」
開口一番に言う台詞ではないが言われた本人は喜んでいるので良しとしよう。

「えへへ・・。」

「って、ネリーちゃんその腕どうしたの?」
よく見るともう血は出ていないがその腕には浅い傷が刻まれていた。
というよりもところどころ浅い傷が体中に刻まれてるのを見た俺の中で・・・
ブチッ
となにかが切れた。

「大丈夫だよ。

あとでハリオンに治してもらうから・・・ってコウ?」
「あ、ごめんね、ネリーちゃん。 ちょっと用事ができたから行ってくるね。」
俺はにっこり笑って駐屯所をあとにし、そこには怪訝な顔したネリーが残されていた。



そして、怒りでメーターが振り切れて大魔神と化したコウは戦場にたどり着いた。

「コウ!やっと来たのね!
ってヤバ・・・。」
ヒミカはコウの見覚えのある、ある種爽やかともいえる表情見て猛烈にいやな予感がした。

「ハリオン!セリア!戻ってきて!」
ヒミカは前方で敵を牽制しているハリオンとヒミカに向かって叫ぶ。

「あら〜コウ様じゃないで・・・。」
「遅いわよ!今頃来て・・・」
押し寄せるサルドバルドのスピリットたちを何とか押しとどめていた3人は文句を言いに来るがそれを無視して呪文を唱え始めた。

「マナよ・・・。
我が渇望に応じよ。
オーラとなりて敵を呑み込め。」
呪文と共にコウの前には巨大な球体が浮かび上がる。

「オーラフォトン・・スフィア!!!」
言葉と共に球体から光の矢が拡散され、敵である7体のスピリットを正確に射抜き、球体は矢によって足止めされたスピリットの頭上にふわふわと浮かび上がるとまっすぐに落下してあたりを丸ごと吹き飛ばした。

「・・・。」
「すごいですね〜。」
「すご・・・。」
三者三様、驚きに目を見開き呆然としていた。
コウの実力を初めて見たセリアは声もなかった。

「ネリーちゃんを傷つけるものは何人たりとも許さん。」

「あんたの行動原理は本当によくわからないわね・・。」
あきれたようにヒミカはコウの背中に話しかける。

「ま、どうだっていいじゃねえか。
これで敵は全滅だろ?
あ〜あ、手を貸す気はなかったのについやっちまった・・。」

「ところで〜、コウ様は何で怒ってたんですか〜。」

「ハリオン、それは愚問だわ。
こいつが怒る理由なんて一つしかないでしょう?」
ヒミカは肩をすくめ、あきれた声で同意を求めるように言う。

「「ネリーのためってわけね(ですね〜)。」」
そして、ヒミカの狙い通りの対応でセリアとハリオンは互いに声を合わせてため息と共に呟いたのだった。

こうしてサルドバルドは奇襲という形の有利な状況を一瞬で無にされただ被害を大きくしただけなのであった。



あとがき
ぶっちゃけどうでもいいとは思うが、今回の技“オーラフォトンスフィア”のついて。
大軍スキルのひとつ。
オーラフォトンノヴァや、オーラフォトンブレイクなどと似たようなもの。
しかし、この技は上記のスキルと違い、避けることが非常に難しい。
なぜかというと、最初にオーラフォトンの矢が敵をその場に足止めさせ、その後に辺り一帯を吹きとばすからである。
だが欠点もあり、最初にオーラが矢によって分散するのでオーラフォトンブレイクほどの破壊力は望めないのが難点。
臨機応変に使い分けるのが吉。
という、ものすごくどうでもいい裏設定もあったりする。

さて、今回も文が荒いかもしれませんが許してください。
それではまた会いましょう。