この話は“あるロウエターナルのお話 第1話”からの派生のお話です。
それを踏まえた上で呼んでもいいと思う方はこの先に進んでください。



あるロウエターナルのお話 

番外編  エターナル、吸血鬼に出会う


「永遠神剣第3位“渇望”の主が命ずる!
門よ開け!!」
“渇望”から流れ込む知識を元に門を開くと俺は門の中に飛び込んだ。

「おっ、出口はアレかな〜っと。」
この先にどんな世界が広がっているのかと弾む心を抑えきれず、うきうきした声がでた。

『契約者よ!
それは違う門だ・・・、遅かったか・・。』
コウの出ようとしていた門が違うことに気付いたコウに注意をするがそれは既に遅かった。

「ここが例の異世界か!って日本じゃねえかよ!」
降り立った先は場所自体に見覚えは無いが、見たことのあるチェーン店の看板が立ち並んでいた。

『だから待てと言っただろうに・・。』
渇望はあきれたようにため息と共に言う。

「わりい、聞いてなかった。」

「汝・・・。」 思わず頭が痛くなりそうな契約者の態度にため息をつきたくなる衝動を我慢した。

「それにしても日本だとはもしかして門の展開に失敗したか?
もう一回門を開くにしても一休みしないとうまくいかなそうだし・・。」
コウは渇望にぶつぶつと話しかけるが傍から見れば独り言を言う危ない人にしか見えなかった。

『そうだな・・、む・・誰か近づいてくる。
契約者よ気をつけろ。』
渇望は近づいてくる人影に対して注意を促し、視線をその方向に向けると二人の少女が空から降り立った。

「満月の夜にここに侵入するとは運が悪いな貴様。
まぁ、私としては全力ではないが久しぶりに楽しませてもらうぞ。」
背の低い少女は長い金色の髪を靡かせながら殺気混じりに言い放った。

「・・・も・・・。」
コウは少女を見て身体を何かに耐えるようにふるふると震わせ、ポツリと言葉を漏らす。

『も?』
「も?」
「も?」
その声と様子に金髪の少女と、ロボっぽい少女たちは怪訝な声をあげる。

「萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!」

『「「は・・、はい?」」』
三人(?)の内心は完全に一致していた。
というよりもまともな感性を持つものならばこの反応に決して間違いは無い。
むしろ反応されても困るというものだ。

「ねぇキミ、名前なんていうの!?
すっげ〜可愛いよね。
というか、一目見て惚れました。
俺と付き合ってください!!」
この男の行動はどこの世界でも変わりは無かった。

「え、あ?
な、なな・・、何だ貴様は!
か、からかってるのか!?」
いきなりの告白に顔を真っ赤にして怒鳴る少女を見てコウは更に萌えていた。

「やっべ、可愛すぎ・・。」
馬鹿正直な感想に更にヒートアップしていく少女。

「マスター、落ち着いてください。」
それは無理だろうと思うが、誰も突っ込むことができないために事態は混沌としてきた。
そんなとき、のそりと森の方から御伽噺で出てくるような風体をした鬼たちの軍団が暗がりから現われた。

「くっ・・、こんな近づかれるまで気付かなかったとは・・。」
金髪の少女は悔しそうに呟き表情を引き締めた。

「全部で30体前後だと思われます。」
ロボ少女は感情の篭らぬ声で言う。

「邪魔・・・がって・・。」
そして我らがコウくんは鬼に邪魔されたことでじわじわと殺気を出し始めていた。

「くっ・・!?」
少女はそのにじみ出る殺気とエネルギーの奔流に気圧されていた。

「マナよ・・・。
我が渇望に応じよ。
オーラとなりて敵を包め。」

「な、なんだこの力は!?」
「エネルギー増大中。
大気に膨大なエネルギーが収束しています。」

「オーラフォトン・ブレイク!!!」
コウはうちからエネルギーを解き放って当たり一帯を巻き込み、全ての鬼を消滅させた。


視点エヴァンジェリン
「半径500メートル以内の生体反応なし。
完全に消滅しました。」
ロボ少女の淡々とした声が辺りに響き渡り、その事実は金髪の少女・エヴァンジェリンを震撼させた。

馬鹿な・・。
コイツは何者だ!?
これほどの魔法を放ちながらもまだ余裕を持っている。
あの時感じたエネルギーの奔流はこんなものではなかった。
おそらくヤツは意図的に威力を抑えた。
コイツを仲間にできれば・・・。
それに、コイツは私にほ・・、ほれ、惚れたと言っていた。
ならば・・。

そんな考えを巡らしエヴァンジェリンは顔を赤らめながらにやりと笑った。

視点コウ
「ふん、無粋なやつらだ。
あ、大丈夫だった?
怪我とかしてない?」

「大丈夫だ。
ところで貴様は何者だ?」

「俺は榊昴(さかき こう)だ。
コウで構わない。」

「では、コウ。
貴様は魔法使いなのか・・?」
目を細めてエヴァンジェリンはコウの顔を覗き込んだ。

「魔法使い?
なんだそれ?
俺は魔法使いじゃなくてエターナルだぞ。」
この男には隠すということは無いのだろうか?
それとも惚れた女の子だからすらすらと喋っているのかもしれないが・・。

「エターナル?
なんだそれは、数百年の年月の中でも聞いたことが無いぞ。」

「そりゃあそうだ。
エターナルは高次存在。
別の次元に渡ればエターナルの記憶はなくなっちまうからな。」

「別の次元だと!?
まさか貴様は・・。」
神なのか?
と言おうとしたところでこんなヤツが神な訳がないかとおもい、言葉を切った。

「なぁ、数百年って言ったけど一体どういうこと?」

「そういえば自己紹介が遅れたな。
私はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
真祖の吸血鬼であり、不死の魔法使い・“闇の福音”だ。」
エヴァンジェリンは自信満々に言い放つ。

「へ〜、吸血鬼って本当にいるんだ。」
ちょっとビックリしたといいながらも驚いた様子はまるで無かった。

「なんだその反応は。
少しは驚くぐらいしろ。」

「そんなこと言ったって俺自身人間じゃないからなぁ・・。」

「それもそうか・・。
ところでこれから行くところはあるのか?」

「いや、でも少し休んだら別の世界に行こうと思ったけどエヴァがいるからこの世界で暮らそうと思ってる。」

『ちょっとマテ。』

「さてと、どうしようかな。」
コウは渇望の声は聞こえない振りして華麗にスルーした。
哀れ渇望。
頭痛すら伴う渇望の叫びを何事も無いかのように無視し続けるコウのエヴァ萌えは既にかなりの領域にまで達していた。
むしろ精神が肉体を凌駕していると言っても過言ではなかった。

「行くところが無いのなら私のところに来るか?
おまえの力について興味がある。
どうする?」

「行きます!」
即答。
数秒の間すらなくコウは言い放った。
永遠神剣第一位?
ロウエターナル?
なんだそれ?
俺には渇望の泣き声なんて聞こえないし、それに恩も義理も知ったこっちゃないし。
外道の極みここにあり。
むしろ外道すら生温かった。

こうしてコウのこの世界での生活が始まった。
これから先なにがあるかわからないが間違いなくコウにとっては楽しいことになるだろう。
渇望は別として・・・。

がんばれ渇望!
負けるな渇望!
君の行く末は真っ暗だ!


Fin?




あとがき
設定の矛盾?
なんですかそれ?
食べられるんですか?

衝動的突発的SS
いつもながら読みきりです。
エヴァたんマンセーーーーー!!

基本ギャグです。
ネリーがエヴァになっただけやん!
などという突っ込みは聞きませんw

次の読みきりは多分“はぴねす!”(ロウエターナルは関係なしに)とか書くかもしれません。

では、感想待ってます。