前回までのあらすじ

幼女に拉致られました、まる。


アンリ・マユとお嬢様?

第4話 幼女と不審者 中篇 〜人形娘はマブダチ候補生!?〜


「マスター、お帰りなさい。
“それ”はなんですか?」
茶々丸の視線の先にはドナドナを口ずさんで引きずられる怪しげな風体の男、アヴェンジャーがいた。

「むかついたんで拉致してきた。
くくく…、私直々に教育してやろうと思ってな」

「そうですか…。
マスターにこのような趣味がおありとは思いませんでした」

「おい…、今の話を聞いてなぜそうなる」

「好みの男を無理やり拉致してマスターが自分好みに矯正するというお話ではないのですか?」

「違うわ!!
このボケロボ!!」

「ドナドナド〜ナ〜」

「ええい!!
貴様もいいかげん歌うのやめんか!!!」

「え〜、哀れ…、幼女に拉致られたアヴェジャーくんは…」

「うっさい」

「ちぇ…」

「ああ、マスターがあんなに楽しそうになされて…」

「今のを見てどこが楽しそうに見える!?
お前の目は腐ってるのか!!」
いえ、楽しそうにしか見えませんよ、エヴァンジェリンさん。
むしろ、阿吽の呼吸なやりとりです。

「さすが、相棒!
イイツッコミだ!」

「いいから貴様は黙ってろ!」

「ういーっす」

「ケケケ…。
ザマアネエナ、ゴ主人」

「む、チャチャゼロか…」

「おお!
なんか、凄まじく気が合いそうなオーラが!?」

「ケケケ…、奇遇ダナ。
オレモソウ思ッテタトコロダゼ」

「けけけ…」

「ケケケ…」
二人がシンクロした笑いが響く。
そのとき、茶々丸とエヴァンジェリンは、なぜこの二人を引き合わせてしまったのだ…と早くも後悔し始めていた。

「友よ!!」

「友ヨ!!」
すでに視線で語り合っていた。

「早いな!?」
的確なツッコミである。
彼女も彼女でこの短い間に突っ込み技能が恐ろしい速度で成長しつつあった。
ちなみに、本人は気付いていない。

後に二人は語る。
俺たちは出会うべくしてあったのだと…。

「テメエトハ気ガアイソウダ」

「俺もだ。
友よ」
もう友達ですか?
一目惚れじゃないんだからちょっと早すぎじゃない?
という、突っ込みは入らず、二人のケタケタと楽しそうに笑う声が辺りに響き渡るのだった。

「デ、ゴ主人、コイツハ誰ダ?」

「今更だな!?」

「ナイスツッコミダゼ」

「俺と世界を狙う逸材だからな。
けけけ…」

「狙うか!!
くっ…、いちいち突っ込んでいたらキリがない。
自分を抑えるんだ…」
エヴァンジェリンはぶつぶつよ呟いて心を静めているが、ぶっちゃけそれは無理だ。
世界が許しても、あの二人が許さない。

「あのよー、そろそろ解いてくんない?
この体勢って結構キツイんだよねー」

「貴様は当分そのまま反省していろ!
とりあえず、紹介しておく。
“コレ”はアヴェンジャーとかいう私の新たな従者だ。
貴重な能力を持っているので拉致してきた」
従者ってもう決定事項っすか…。

「ええー、俺ペドフィリアじゃないからって断ったじゃん」

「従者になるのに貴様の性癖は関係ないだろ!!」

「いやいや、従者って言ったら○○○して、○○○を…(検閲)…じゃないの?」

「だ、だ、だ…」

「DADADA?
らきすた?」
微妙にわかり難いネタである。

「メタナ発言ハキケンダゼ親友」
いつのまにか親友に格上げされている。
どうやら好感度メーターが上がりやすいらしい。

「誰がそんなことさせるかーーーーーーーー!!!!!!
それは従者じゃなくて、バ○ー犬か、性○隷だろうが!!!」

「えー、違うのー」

「違うわ!!!」
このとき、エヴァンジェリンは完全に失念していた。
この場にはオーバーテクノロジーで作られた完全自立型“ガイノイド”がいることを…。
簡単に言うと、彼女の目はカメラである。
ここまで言えばお分かりだと思うが、録画されているのだ。
それも、一部始終。
あの発言も、その発言も、もちろん行動も全てである。
そのことに気付いたときはもう遅く、猛烈に後悔することになるのだが、今はどうでもいいことだった。




まだ続く


あとがき
スマン。
中篇になってしまいました。
後編は現在作成中。
シリアスの予定です。


それにしても、最近はギガ忙しい。
嫌になります。
出来る限り更新はしていきますのでご安心ください。