ナコト写本の契約者

第13話


この日、ネギは学園長に呼び出されていた。

呼び出しの内容というのは関東魔法協会と関西呪術協会についてのことだった。
学園長によるとこの2つの組織は互いに仲が悪く、京都行きを中止せざるを得ない状況になるかもしれないとのことだった。

ネギはそのとき別段京都に執着はなく、駄目だった場合のハワイでも構わないので、
「じゃあ、生徒の意見を聞いて判断いたします。」
と言うが、関東魔法協会の理事である学園長は互いの仲の悪さに頭を悩ませていることもあって親書を届けてもらえないかと頼まれたのだった。

他にもいくつかの確認事項や質問事項を聞き終え、学園長からエヴァンジェリンのことを聞かれるだろうと覚悟していたネギは少し拍子抜けしながらも学園長室から退出した。



それから数日後・・・。
修学旅行当日、ネギは新幹線内で点呼を済ませ座席に座っているとエセルドレーダから念話で話しかけてきた。
「マスター、微弱ですが敵意を感じます。」

それと同時に車内からは悲鳴が聞こえ、大量発生したかえるが車内を飛び回っていた。

「早速か・・・。
それで場所は特定できそう?」
ネギはみんなと一緒にカエルの回収作業を進めながら念話で話を進めていた。

「申し訳ありません。
なにかの術を使っているのかうまく特定できません。」

「そっか、じゃあ炙り出してみようか…。」
そう言ってネギは懐から親書を取り出しさりげなく周りに見えるようにした。

するとどこからか一羽の鳥が滑空すると共にネギの手から親書を奪って視線の先に飛んでいった。
それを見たネギは内心で“かかった”と思いつつも表面上にはまったく出さずに、あたかも必死に追っているように見せながら追いかけた。

「兄貴!あれは式神だ!!」
カモはそれを見ると即座にその正体を看破した。

「式神?
日本特有の呪術の一種だ。
わかりやすく言えばペーパーゴーレムだな。」

「よし、捕まえよう。」
そう言ってネギが四肢に力を込めようとするとタイミング悪く販売員の女性がネギにぶつかった。
その抜群のタイミングに頭の中で少し引っかかりながらも一言謝り通路を進むと親書を片手に持った刹那が立っていた。

「ネギ先生・・・。」

「桜咲さん、こんなところでどうしましたか?」
ネギは柔らかく笑いながら対応したが、それにはどこか警戒が含まれているようにも感じられた。

「ネギ先生…。
これ、落し物です。」
思い出したようにてにもつ親書をネギに渡してぺこりと頭を下げると踵を返して立ち去る。

「あ、どうもありがとうございました。」
去り行く背中にお礼を述べると、刹那はぴたりと足を止めて振り返った。

「気をつけたほうがいいですね、先生。
・・・・特に、向こうに着いてからはね・・・・それでは。」
まるで託宣のように告げて再び歩き去った。


「おいおい、兄貴。
あいつめちゃくちゃ怪しくねーか?
もしかしたら西のスパイかもしんねーぞ。」
カモはまるで刹那が犯人かのように言う。

「どうだろう。
もしそうだとしたらなんで親書を返したのかな。
それに魔法媒体だと思う紙が落ちているのもおかしくない?」
ネギは半信半疑であるため自分の気になる点をいくつか上げる。

「それもそうか・・。
もしかしたら兄貴の罠に気付いたから返したとか・・・。
うーん、とりあえずあいつには注意しておこうぜ兄貴。」
カモはぶつぶつと呟きながら考えていたが決断を保留して注意を促した。

「そうだね。
これから妨害も厳しくなるだろうから心してかからないと。」
そう言ってネギとカモは顔を見合わせて頷き合うと座席に戻った。


あとがき
まったりと修学旅行編に突入。
今回は大して原作と変わりない気がしますな。
まあ、気にしない。

いまさらですが若干強さについて疑問の声がありましたのでネギの実力などについての説明します。
実は九朗たちとの戦いの末、エセルドレーダはページが抜け落ちてる状態という設定。
エンネアもさりげなく“だいぶ弱ってる”といっているところがありますw
そのため、あんまり上等なことは出来ません。
(パワーバランスのための設定でもありますけど・・・。)
たとえば、ナコト写本の術式などです。
当然デウス・マキナなんてもってのほかです。
まあ、それ以前の話で私の脳内設定では戦いの末に(アイオーンのように)壊れたことになっているのですが・・・。

あと、ネギ自身が魔道書の力を全然引き出せてないのもあります。
だって完全にテリオンレベルになったら面白くないじゃないですかw

ネギま!世界で最強だなんてなんの面白みがありません。
仮にテリオンと同等の力を持っていたとして、エヴァ戦でデウス・マキナが使えたら・・・。

「ハイパー・ボリア・ゼロドライブ。」
リベルレギスの手のひらから放たれる絶対零度は氷を操る最強の吸血鬼の力をもってしても抗うことは出来ず、エヴァンジェリンは為す術もなく消滅した。

なんて展開じゃあんまりですからw

これからの展開上で古に弟子入りがあるがあれはどうしようかな・・・。
それというのも実は作者は八極拳は苦手なんですよね。
いくつか習得済みの技術もあるけど戦闘シーンを書けるかといわれれば正直言って無理です。
嗚呼、どうしよう。
合気道、空手、形意拳とかなら使えるんですけどねぇ・・・。
ぶっちゃけ修学旅行編で終わらせようかな・・・。
とか思っちゃ駄目ですかね?

ではまた

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