注:これはナコト写本の契約者とはまったく関係ありません。(裏話なので関係ないもくそもないですけどね・・。)




修行の始まりから数年の時が過ぎ、俺は無事マギステル・マギになった。
だけど、俺はまったくわかっていなかった。
マギステル・マギになることがどういうことなのか。
裏の世界に関わっていくことが、真実を知った果てがどれほど愚かで、悲しいことなのかということを・・。


ネギま! ダークサイド

心が黒く染まるとき



俺は戦争の爪痕が色濃い村の復興支援を手伝っていた。
そんなある日のこと、俺が地元の子供たちと仲良く遊んでいたときに惨劇は突然降りかかった。

パアァァァン。

乾いた音と共に紅い花が撒き散らされた。

目の前で起きた事実に一瞬だけ思考が凍った。

目の前で楽しそうに笑っていた少女の頭が文字通り、“爆ぜた”。

続けざまにマシンガンは音を響かせ撒き散らされる弾丸。
だが、死を撒き散らす鉛の弾丸は自分には到達することなく障壁に阻まれ小さな音を立てて転がった。

「Shit ‥ this monster‥.
(くそったれ・・、この怪物が・・・。)」
弾切れのあと呆然と弾丸の雨の中を立ち尽くしていた俺を見て、白人の男は拳銃を片手に持ち替え、信じられないといった表情で呟いた。
吐き出された言葉はこの国特有の言語ではなく、男がこの国の人間ではないことがすぐにわかった。

視線が交錯する。
男は恐怖に引き攣らせた表情で逃げ出した。

それを合図とするかのように村の数箇所から爆発が巻き起こり、爆風は村人を巻き込み、バラバラと血と肉があたりに飛沫のように飛び散った。

それを見て俺は自分の中の何かが崩れた気がした。
常識、良心、平穏などといった固定観念はまるで意味などないのだと悟り、己の心が炎のように熱いのに、氷のように冷たい感情に支配された。

「戒めの風矢・・。」
逃がさない。
殺してやる。

男は突然光の縄に締め付けられて引き攣った声を漏らした。

「Why did you kill?
(なぜ殺した?)」
もがく男のもとにゆっくりと歩み寄り、地面に転がる拳銃を拾い上げると男の眉間に銃口を当て、男の話す言葉に合わせて聞いた。
特に言語に困ることはなかった。
男が話していたのは自分の故郷でも使われる英語だからだ。

「hi‥, I do not know anything!
If here is attacked, it gives money.
I did not know there was monster of you..
(ひっ・・、俺は何も知らないんだ!
ここを襲撃すれば金をくれるといった。
俺はあんたみたいな怪物がいることすら知らなかったんだよ。)」
救いようが無かった。
金のために誰かの命を奪う。
こんな屑を生かす価値など無かった。

「・・・。」
殺すことに迷いは無く、躊躇無く無言で引き金を引いた。
頭が爆ぜる。
銃口が大きいせいか、男の頭は盛大に血と脳漿を撒き散らした。



惨劇の後、村には数え切れないほどの死体が転がっていた。
辛うじて生きていた者も後を追うように息を引き取り、無傷な者はその現状に咽び泣いた。

そして、戦争は終わってなんていなかったことを悟った。

「何が“戦争は終わった”だ。
なにも終わってなんかいなかった・・。
戦争が終わっても失われた者は戻らない。
残ったのは憎しみ合う心だけじゃないのか!!!!
こんなものが平和であるはずがない!!
ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
血溜まりの中で俺は慟哭の叫びを上げた。

許せなかった。
戦争を起こした国も、きっかけを作った者を。
そして何よりも見せかけの平穏を信じて警戒すらしなかった自分が許せなかった。

「許せない・・。
こんな世界があってたまるかものかぁぁぁ!!」
慟哭の中で俺は誓った。
戦争を終結させよう。
たとえ、その結末に己の命を落としたとしても命を懸けて誓おう。

守れなかった命のためにもなんて傲慢な考えはない。
だけど、誰かがやらなくてはいけない。
それが世のためになるならば・・。
そのために俺はマギステル・マギになったのだから・・・。


その日、俺の日常は終わりを告げた。
これから始まるのは血と負の感情に満ちた煉獄の日々。
だけど、立ち止まることはないだろう。

俺の命が尽きるその日まで・・・。



あとがき
名も知らぬ一人の“立派な魔法使い”の物語。
魔法使いたちが人を救っている中で、こういうシーンがあったとしてもおかしくないと思います。
仮にもそこは戦場なのですから・・。

私はイラク戦争を引き起こしたあの国の大統領が大嫌いです。
なにが“平和”だ。
ふざけるな。
自分に力があれば絶対に殺しています。
なぜ、憎しみは憎しみを、戦いは戦いしか呼ばないことがわからないのでしょう。
なぜ、自分が奪われた立場として考えることが出来ないのか私はとても不思議です。
そもそも、武力で解決させようとする時点でおかしいと思います。

そして、人を殺して築き上げた平和にどんな価値があるのでしょう?
皆さんも、少し考えてみてください。
今、自分が過ごす日常が堆く積まれた屍の上に成り立っているかもしれないということを・・。

なんかお目汚しになってしまい、すみませんでした。


ちなみに英語はかなり意訳しています。
これ違うじゃねーか!!
などとあまり出来がよくないため突っ込みどころ満載ですが、そこら辺は自分でも気付いているので生暖かい目でスルーしてくださいw

それではまた。